脂肪肝とは?

肝臓に過剰な脂肪が蓄積された状態をいいます。主に中性脂肪がたまり、顕微鏡で見ると肝細胞の周りに粟粒の様に油の球がたくさん見えます。脂肪肝自体は無症状で健康診断や人間ドックでALT(GPT)が30以上、肝臓エコー検査で肝臓が腎臓や脾臓より白っぽく腫れて見えることで診断されます。
放置すると肝硬変から肝がんに進展するケースがあることが知られており、適切な治療管理が求められます。
脂肪肝の症状・合併症
初期はほぼ無症状
脂肪肝はほぼ無症状です。健康診断、人間ドックで指摘される場合と、他の生活習慣病で通院中に発見されることがほとんどです。
合併症のリスク
医学的には脂肪肝は脂肪性肝疾患(SLD)と定義されています。その中でアルコール摂取過多でないものは代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD、マッスルディー)と呼ばれます。ほとんどの脂肪肝の方はここに分類され、予後はそれほど心配しなくても大丈夫です。
しかし一部の方では代謝異常関連脂肪肝炎(MASH、マッシュ)とよばれ、肝臓で炎症を起こしているケースがあります。炎症を放置すると肝臓が繊維質で硬くなり肝硬変に進行します。また肝臓がんの発生母地にもなります。
脂肪肝の原因
脂肪肝の原因は一部の薬剤性を除けば、生活習慣に起因します。
アルコールの過剰摂取
アルコールの分解過程で中性脂肪が産生され肝臓に蓄積します。
過体重・肥満
摂取過剰で肝臓での脂肪酸代謝能力を上回り、中性脂肪が肝臓に蓄積されます。糖尿病、脂質異常症などもあいまって影響します。
脂肪肝の検査・診断
脂肪肝の診断は血液検査と画像診断の結果に基づいて行います。
| 項目 | 数値 | 診断 |
|---|---|---|
| ALT(GPT) | 30IU/L以上 | 脂肪肝疑い |
| FIB-4(ALT、AST、血小板、年齢、体重より算出) | 肝臓線維化指数 | 低リスク、中リスク、高リスク |
| 腹部超音波検査 | 肝腎コントラスト | 脂肪肝 |
| MRI、CT、肝生検 | ― | 肝臓の繊維化 |
(※)FIB-4で中リスク・高リスクは肝臓専門医にご紹介します。
脂肪肝の治療
脂肪肝治療の基本は、食事内容の見直しと運動習慣の確立による生活習慣の改善です。体重を10kg減量すると肝臓の脂肪成分がかなり少なくなることが知られています。
なお、生活改善の効果が十分でない場合や半年間の食事栄養指導で体脂肪率が改善できない場合は、肥満症治療薬「ゼップバウンド™」の適応も考えられます。

